海外だからこそ、何が正しいのかわからなくなる

留学して暫く経ち、定期的に「家に遊びに来ないか、久しぶりに日本食を食べたくなるころじゃない?日本のテレビ番組も家なら見れるよ」と誘われるようになりました。

家に行くのはまずいのではないか、でも色々お世話になったし、あまり失礼な断り方は良くないかな、と「外のレストランにしませんか?」と提案し続けていましたが、あまりにも誘われ続けていたので一度お付き合いで行けばもう相手も家には誘ってこないだろう、と思ったのが間違いでした。

 

そこで被害に遭いました。その人がまるで別の人かのようになっていたこと、どれだけやめてくださいと泣いても全く相手に届いていないことに、身体もそうですが、まず心が傷つきました。道もGoogleマップがなければ分からないからすぐに追いつかれてしまうだろう、異国の地で服が乱れた状態で外に出る方が危ないのではないか、荷物を置いては逃げられない、必死で相手を逆撫でしないことだけを考えていました。

その後、しばらくはなぜかあれは大したことじゃなかったんだと思っていました。

ある日、偶然現地のある日本人女性から話の流れで「○○さんは気を付けた方がいいよ。」と言われ、ぞっとしたのを今でも忘れられません。詳しく話を聞くと、その女性にもセクハラをしていたことが分かりました。今になって分かりましたがその駐在員の被害者は他にもいました。

話してくれた女性に初めて全てを話して、言語化することによって初めてあれはおかしかったと気づきました。その女性が多くのサポートをしてくださったおかげで、現地で性病の検査をしたり、日本の弁護士にお願いして慰謝料を請求することが出来ました。

全て終わってやっと、はじめて「私は悪くなかった」と思えるようになりました。

今でも、ふとした瞬間に、受けてきたセカンドレイプの言葉に苦しくなる時があります。「なんで家に行ったの?」「男はそういうものなんだから女側が気を付けるものでしょ」「本当に同意してなかったの?」そういった言葉を内面化してしまって自分を責める時もまだ多々ありますが、こうやって人に話すことで、これから被害に遭う学生を少しでも減らせたら、私自身も癒されるのではないかと思っています。(Cさん)